2019年度
入賞・入選作品
応募総数 | 107作品 | ||
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審査日 | 2020(令和2)年2月18日 | ||
入賞・入選 |
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まめってえ農婦
松野邦弘長野県長野市
講評
積雪が少ない今シーズンですが、本来は雪に閉ざされ、雪とともに長い冬を暮らす地区の人々。雪晴れの日、雪の下の畑にある野菜でも取り出すのでしょうか、まんのう鍬を振り上げ雪を掘り起こす農婦を主題に、雪国の生活感を表現しています。畑を取り囲む民家や土蔵、はるか向こうには北ア連山と素材をよく観察、まとめています。農婦の表情が見えないのが惜しまれます。
怪しいキノコ
下山徳子長野県長野市
講評
小さな素材をよく発見しました。おそらく10㌢前後?食べられないキノコながら赤、黄、白など色とりどりの茎が寄せ集まり、まるで1家族のようです。スマホ撮影では?(事務局)とのことですが、クローズアップがいとも簡単に可能な最新の機器で迫ったところが褒められます。ただ、深度調整ができないと思われ、背景がうるさいです。もう少しぼかすともっと主題が強調、浮いてきたと思います。
かやぶきの里
井出利久長野県長野市
講評
今では珍しくなったかやぶき屋根。家の周りの様子から住民はいないかなと思われますが、ご近所さんでしょうか人物を配し暖かな日差しの春のひとコマを切り取っています。過去から現代へと時の流れを感じさせます。
大望峠眼下の絶景
徳嵩正美長野県長野市
講評
鬼無里、戸隠の境に位置する大望峠。高台にある展望台から鬼無里地区を見下ろす光景ですが、真っ盛りの紅葉が織りなすように波状に続く様はまさに「絶景」。はるか向こうにくっきりと北ア連山、その雪の白が黄葉と共演。作者の感動がそのまま作品から伝わってきます。
早春
渡辺雅文長野県長野市
講評
県内でも有数のミズバショウで知られる奥裾花自然園。長い冬から目覚め、雪解けの間から白い花(苞)をのぞかせるミズバショウ。残雪とうまく絡み合い、里より遅い春の雰囲気が表現できました。中央付近にいる2人の点景人物も効果的です。
渓谷を支える
髙橋 勘長野県長野市
講評
千畳敷岩やハチの巣状風化岩など海底だった太古の姿がそのまま露出する奥裾花川渓谷。岩盤に生える樹木にロープを絡ませ、崩落防止の作業をする人たち。危険が伴う作業だけに、目の前のきれいな紅葉を鑑賞している間もありません。単なる紅葉の風景作品に人物がプラス、緊張感や自然のスケールが出ました。
或る秋の日
草場洋介神奈川県相模原市
講評
手前に秋を象徴する柿をあしらい、点在する集落と連なる山々が遠近感を演出して迫ってきます。時期が早かったのか暖冬の影響か、山肌に紅葉が少なく、向こうの連山山頂に雪もなく、少し物足りない「秋」の感じがします。
漬菜とり
西村美枝長野県長野市
講評
近年、長野市近郊の山あいの畑で盛んな「お菜取りツアー」。多くの人が訪れて収穫する様子を撮影しました。しゃがんで採る人、計量器で量る人・・・。10数人とにぎやかな中で中央付近の3人は畑のオーナーでしょうか、何もしていないところがユーモラスです。
うさぎ追いし
畠山敏郎東京都小平市
講評
唱歌「ふるさと」の歌詞を思い起こさせるひとコマ。かつて、小鮒を釣り、ウサギを追い、一家が暮らしていたかやぶき屋根の民家。人けが途絶えひっそりとたたずみ、今は静かに周りの山や林に回帰するのを待っているようです。悠久に流れゆく時を感じます。火の見やぐらも効果的です。
総評 (審査員長:信濃毎日新聞社元写真部長 増田今雄氏)
風景写真が大勢を占めてきましたが、これまでになく地区に暮らす人々のショットが多く寄せられました。盆踊りやお祭り、苗代や稲刈りなど生活感あふれる作品が目立ち上位に選ばれました。
応募点数も、今回からデジタルデータ送信の応募受け付け導入があり100点を越しました。デジタル送信作品は約半数近くを占めましたが、最終的な仕上げ(プリント)は事務局任せとなりますので、トリミングや色調などしっかりとした画像データにして送ることを心掛けてください。
また、地区の代表的な行楽地、奥裾花自然園のミズバショウ作品も例年になく寄せられましたが秀逸作品に出会えなかったのは残念です。大群落が発見された時から多くのカメラマンに被写体にされている植物だけに、撮りがいがあります。自分の視座で挑戦してください。
地区内には、ミズバショウはじめほかの植物、動物も豊富です。新緑、紅葉、雪など四季折々の光景、農作業や行事、イベントなど生活感あふれる人々の暮らしとともに、オリジナルで独創性を持った「ふるさと鬼無里発見」作品を期待します。
講評
地区に代々伝わる春祭りで、住民が力を合わせ山車を曳航する。鎭守の杜、鬼無里神社を背景に選んだポジション取りが成功、高い社叢林やのぼり旗、向こうには土蔵や満開の桜なども垣間見え、雰囲気を盛り立てています。魚眼レンズで歪んではいるものの、空や大地、そこに繰り広げられるイベントに集う人々、すべてを包み込むようなイメージが印象的です。