2018年度
入賞・入選作品
応募総数 | 96作品 | ||
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審査日 | 2019(平成31)年2月14日(木) | ||
入賞・入選 |
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「ちょっとのぞいて見てごらん」
秋元秀夫千葉県松戸市
講評
裾花自然園のブナ林の紅葉をひょうたん池の水鏡に投影。静止した水面に写し込んだ世界と実像が混在、天地を逆に間違ってしまうほどです。水面に投影した作品はよく見かけますが、ここまでリアルに表現した作者の感性、技術力を評価します。タイトルとともにしっかり大自然と対話ができた成果です。
霧立ちぬ
増田 恵長野県長野市
講評
大望峠からでしょうか、鬼無里の重なる山里に立ち込めた霧。早朝や天気の変わり目に発生し易い現象を予見、そこに足を運んでものにできた労作です。遠近感とともにモノトーンの色調が落ち着いた雰囲気を漂わせています。
鳥瞰の渓谷
小平 尚長野県長野市
講評
紅葉に囲まれ、上部の池のようなところから流れ下るひと筋の沢。「こんなきれいな場所があったんだ」と思わせてくれる意外性があり、近年登場のドローン撮影かと思うほど、真上からのアングルが新鮮です。
野沢菜の集荷
井出利久長野県長野市
講評
バス停に大量に出された野沢菜をトラックに積み込む。漬物工場へ運ぶとのことですが、手際よく野沢菜の束を渡す男性の動きをタイミングよく捉え、季節感たっぷりの作品です。欲を言えば、背景がやや窮屈。もう少し集落や里山が見えると広がりが出たと思います。
水芭蕉の園
丹羽明仁愛知県小牧市
講評
ブナなどが芽吹いた新緑の中で、一斉に花を咲かせたミズバショウ。群落の中を流れる小川をS字状に配し流れを創出、アクセントとなりました。この作品も画面上部が窮屈です。もう少し中西山でしょうか、山と空を入れると空気感、奥行き感が出ました。
霧覆う山里の夜明け
小平 尚長野県長野市
講評
霧のさまざまな表情を捉えている逸品。手前から日影の霧、朝日が差した霧、その右に一筆書きしたように漂う霧、さらに向こうの山塊を覆い始めた黒っぽい霧と山頂に居座る霧。発生する時期、時間を予測、早起きが産んだ作品。中央右にある鉄塔が・・・と審査で論議になりましたが、「あるものはしょうがない」で落ち着きました。
収穫の秋
増田 恵長野県長野市
講評
コンバインの脱穀が当たり前の時代ですが、昔ながらのはさかけが郷愁を誘います。しかも、長く、4段。真っ青な秋空に漂う雲と、ぽつんと一人で作業をするお年寄りが妙に釣り合った農山村、鬼無里ならではの作品。
新緑のブナ
秋元秀夫千葉県松戸市
講評
ブナの幹は普通、グレー系の色彩が多く、樹齢を重ねると大木になり太い。時折、こぶこぶだったり、雪の重みで曲がりくねるものも見かけるが、こんなに苔むした幹は珍しい。ローアングルから迫り、画面いっぱいに広げた新緑とともにグリーン一色の色調が絵画のようで面白い。
誰が見た紅葉が一番
草場久仁子神奈川県相模原市
講評
奥裾花自然園の真っ盛りの紅葉を、右の黒い幹と左側の白い幹を対称的に手前に配し、奥の木々、青空と遠近感を考えた作画。さわやかな空気が漂い、行楽を楽しむファミリーを点景にし、タイトルにも反映したところに作者の観察力、努力が感じ取れます。
総評 (審査員長:信濃毎日新聞社元写真部長 増田今雄氏)
色彩が豊かな紅葉を主に、霧、星空、新緑など鬼無里の特徴を捉えた自然風景作品が大半を占めました。応募点数は20点ほど増え96点でしたが、今回も田植え、稲刈り、お祭りなど人々の四季の生活にレンズを向けた作品が少なく惜しまれます。前回と同じ評となりますが、大自然の懐の中で営々と紡いできた人々の生活と暮らしが今でも続いています。伝統の行事、お祭り、冠婚葬祭、四季折々の農作業・・・。もっと、「人のふるさと」の今にもカメラを向けてください。
ネイチャー作品は圧倒的に樹木の紅葉が占め、奥裾花自然園を代表するミズバショウの作品が皆無に等しく寂しかった。鬼無里には、ミズバショウをはじめ多くの植物や野鳥が豊富です。ちょっと狙う矛先を変えてみてはいかがでしょうか。
自前のプリンター印刷で、加工をし過ぎて色調に違和感のある作品が目につきました。
講評
悠久の歳月を生きてきた一本の桜の老木が、今年も春が来て花を咲かせた。その息吹が真っ青な空に映え、命の力強さを感じます。そして、生まれた時から春になると咲くこの桜を見て、この地で生きてきた老夫婦の感慨が伝わってきます。若い人が少なくなった故郷、鬼無里の今の時代を記録した貴重な一枚でもあります。